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Rainbow Rage
レインボー・レイジ
開催日 | 2015年3月21日(土) |
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開催地: | 南島 セント・アーナウド~ハンマースプリングス |
レース内容: | MTBロングライド・イベント |
・ソロ: 106km | |
・タンデム: 106km | |
参加人数: | 約500人(2010年実績) |
難易度: | マウンテンバイク初級者からでもチャレンジ可 |
公式HP: | http://www.rainbowrage.co.nz/ |
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ネルソン・レイクからハンマー・スプリングスまでの106kmの道。
実はこのコース、この日以外は走ることができない秘密の道なんです。
コースは荒涼とした原野に延びるダブル・トラック、川を渡らなければいけない場面もしばしば。 渡りきれず転んでビショビショに、でもそれが面白いのはマウンテンバイカー全員承知の事実。
山あり谷ありの106km、達成度かなり高いです。
ゴールの後は、温泉で汗を流そう!
スタッフ藤井・丸田の2007年体験レポート
2007年は3月17日(土)にレースが開催されました
前日に現地入りした僕達は、その素晴らしい景色に目を奪われた。季節は秋になろうとしているところなのに、僕達が明日目指す先には雪が見える。この辺りは2000m級の山脈から成る山岳地帯、地元の人に聞くと夏でもたまに雪が降るという。しかし天気は快晴、この調子でいくと明日のイベントには雪の心配はなさそうだ。
この日の宿は小高い丘の上にある雰囲気の良いロッジ。120年前に建てられた可愛いらしいロッジには、明日の「Rainbow Rage」に出場する人たちが集まっている。夕食は皆でテーブルを囲む共通の目的で集まったバイカーたち、話しが盛り上がらないわけがない。最高に楽しい時間を過ごした後、明日の健闘を誓い合い、僕らは早めにベッドに入った。
スタート地点は沢山の人たちで溢れかえっている。この地方でこんなに人が集まるのは年に数えるだけしかないだろう。そして待つこと30分、9時ちょうど、遂にこの106kmの道程に足を踏み出した。
最初の10kmは舗装された道を走る。シクロクロスに乗ったバイカーが気持ち良さそうに、僕を追い越していく。Rainbow Ski fieldを越えると舗装路が終わり、Wトラックに変わる。川が幾つも道を横切っている、それを気持ち良く越えて先へ急ぐ。 程よいアップダウンが続く、Wトラックだからスピード全開で追い越しも出来るから、最高に気持ちが良い。
「バンッ!」、銃声が鳴った。ハンティングも盛んなニュージーランドだから、有り得る話し。それにしても近すぎる、何かおかしい、なんだか走りが悪い。「あれっ タイヤがペシャンコだ!」、銃声じゃなくてタイヤがパンクした音だった。良いペースで来ていたから、悔しい。急いで交換し、遅れた分の巻き返しを図る。
その僅か5分後、また例の銃声がなった。
タイヤ交換は何回もやってきたから、ミスはないはずなのに。よくよくチェックしてみると、なんとタイヤがバーストしてしまっている。スペアタイヤなんて持っていない、途方に暮れる僕の前を、皆通り過ぎていく。「タイヤ持ってる?」と沢山の人に聞いた、「持ってないけど、何か手伝えることはないか?」と皆言ってくれ、僕を励ましてくれた。
少年の一団、おじいちゃんおばあちゃんの軍団に追い越された。最後のおばあちゃんが「私が最後よ!」と楽しそうに言いながら僕を抜いていった。依然としてサポートクルーは来ない。僕は自転車を背負って走りながら、残された80kmをどの位で走れるか計算した。
トラックの両側は2000m級の山々が聳え立ち、トラックの横を川が流れている。とにかく景色はダイナミックですごい。こんな道を106kmも走るMTBイベントは、世界広しと言えどもそうないであろう。
「どうした、兄ちゃん。」と、トラックから農場のおじさんが暢気に話しかけてきた。「MTBのイベントに出場中で、今はサポートクルーを待っているんだ。」と僕が言うと、「それ、俺。」とおじさんが言った。 僕は今でもあのおじさんがサポートクルーということが信じられないが、確かにおじさんはタイヤを僕にくれた。
走り始めた。崖の淵のトラックからは、魚がたくさん住んでいそうな川が見える。ずっと遠くには人も見えた。なんとか追いついて、追い越したい、と僕はペースを上げる。後ろを振り返ると、川面に光が反射して美しく輝いていた。
10kmくらいの坂道を登った、これがかなりきつい。Island Saddleと呼ばれるこの名物の峠の頂上には水場があり、何十人もの人が休んでいた。ここからの下りは、手足が振動で痺れてくるほど長く激しい。下り終わると平坦な道に出た。風は追い風に変わり足が軽くなる。ゴールまでは40kmほどだろうか。
追い風に助けられ、もうゴールまでは10kmほどのところまで来ている。目の前には最後の峠であるJacks Passが見えた。足元は気付けば舗装路である。峠の頂上まで来ると、ゴールであるHanmer Springsの町が見えた。一目散で走り下りると、沿道から声援が聞こえる。拍手に包まれながらのゴール、色んなことがあった日だからゴールできたことが本当に嬉しかった。
閉会式ではイベント運営者であるMike Gane氏が、今回このイベントに遥々九州から参加してくれた松山さんに、「今日は日本からこのイベントを走りに来てくれた人も居ます。どうもありがとう。」と嬉しそうに語った。
このイベントの参加賞の1つはなんと温泉入浴券。次の日の午前中も近くのトラックで遊んだ僕らは、この温泉でゆっくり疲れた身体を癒し、後ろ髪を引かれながら帰路についた。(丸田憲司)
2007年レース参加者 松山 翔さんのレポート
日本でも自転車は交通手段としてしか使用していない自分が、MTBで山道を106km走るレースに出場するとは・・・。勢いというものは怖いですね。
初体験で不安な気持ちと、とはいえ運動もしてるしなんとかなるだろうという気持ちと半分半分くらいでレース当日を迎えることになったのだが、もちろんレースなんてしたことのない自分はスタート地点の人の多さ、雰囲気に圧倒されたままスタートの合図を聞くことになった。
スタート地点の牛に見つめられながら藤井さんの後をついていくものの、15分ほどであえなく引き離されて一人旅へ。周りを見ると子供や中年のおばさんがスイスイと自分を追い越していく。「長丁場だからマイペースに」と自分に言い聞かせるも、少々悲しい気持ちになりながらペダルをこぐ。このときは雨が降っていたが、道の景色はダイナミックで、初めて山の中で乗るMTBを満喫していた。
そのまま3時間ほどMTBをこぎ、大きな坂をひとつ越えたあたりで雨がやみ、さらに快適に走れるようになった。そんな時にふと山のほうを見ると虹が出ていた。「うーむ、まさにRAINBOW RAGE」などとつぶやきつつ先に進む。その後さらに大きな坂があり、はるか向こうの峠にカラフルな自転車が見える。この坂道でパンクしていた丸田さんに追いつかれ、二人で自転車を押して登る。この時点でかなりへばっていた自分は休憩し、丸田さんを見送る。
大体70kmぐらいから周りを見る余裕がなくなってきて、ここからのライバル、縞模様の服をきた爺さんとデッドヒートを繰り広げることになる。80kmぐらいでもうひとつ大きな坂を登ると、係りの人が「ここからダウンヒル」と教えてくれた、が言うほどダウンヒルでもない。このぐらいでもダウンヒルって言うんだろうと自分を納得させつつ進むと、前方に建物らしき影が!「やっとゴールだ」と思いラストスパートをかける。しかし近づいてみるとただの家。「マジかよ」と軽く絶望しつつも、ライバルの爺さんに先に進まれたので、負けじと進む。
やはりそこは若さの勝利か、90kmぐらいのところで爺さんを引き離して、さらに別の爺さんを抜こうと試みる。「この爺さんもなかなか手ごわい。」などと考えていると坂を登りきって、目の前に壮大な景色が広がってきた。
ここからが係りの人が言っていたダウンヒルのようだ。山の上から見る景色は最高で、そこを凄いスピードで下り降りる瞬間はとても爽快だった。いままで必死に登ってきた分を補って余りあるほど、気持ちよかった。
そして下りのままゴールラインへと道は続いていた。ダウンヒルのスピードのままゴールへと走りこんだときの瞬間はなかなか言葉にできないが、とにかく最高の気分だった。
その後のプライズギビング、ご飯なども楽しい雰囲気で行われ、翌日は温泉に入って疲れを癒しました。ど素人の自分でも一応完走でき、初めてのMTBを楽しめました。だがしかし、子供、おばさんに負けたのは納得がいかず、リベンジの機会をうかがおうと思っています。