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MERIDA Karapoti Classic
メリダ・カラポティ・クラシック
開催日 | 2015年3月7日(土) |
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開催地: | 北島 ウェリントン Wellington |
レース内容: | マウンテンバイク・レース |
・The Classic : 50km | |
・The Challenge: 20km | |
参加人数: | 1,000人限定 |
難易度: | マウンテンバイク中上級者向け |
公式HP: | http://www.karapoti.co.nz/ |
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膝まで浸かる川、走るほど埋まっていく泥地帯、ハンドルがとられる石ころ群。
ここまで聞けば、マウンテンバイカーの血が騒ぐはず。
環境面や安全面を考え、参加者は1,000人に限定されているこの大会。
2007年度はキャンセル待ちの人々が、なんと1,700人もいたとか。
絶大なる人気を誇るこのイベントが、日本からの本気のマウンテンバイカーを待っています!
スタッフの体験レポート
「すごいレースだった。」参加者のレベルはびっくりするほど高く、そのハードなコース設定はレース中に意識が遠のくほど。ニュージーランドのマウンテンバイカー達は、このレースを「一番きついレース」、または「死ぬほどきついレース」と呼ぶ。
ニュージーランド全土、オーストラリア、そして遠くはヨーロッパから足自慢のバイカー達が集まるこの大会は、「Karapoti Classic」。場所は北島の南の端、首都ウェリントン。そして毎年1,000人限定で開催されているこの人気のレース、なんと数年前の大会ではキャンセル待ちが1500人以上もいたというから驚きだ。
朝、スタート地点に行くと、もう何百人ものバイカー達が集まっていた。周りを見ると、皆驚くほどフィットしている。手入れが行き届いた最新バイクに乗る人、そしてお揃いのジャージを纏ったプロの選手達も目立つ。最近トレーニングしていなかった自分に不安を覚える。そんな時、元エンデュランスの世界チャンプ、Tim Vincentが僕に「大丈夫?走れる?きついよ、このコース」と笑いかける。「大丈夫だよ、トップはきっと狙えないけどね」よく分からない見栄を張る自分が恥ずかしい。
スタートはカテゴリーごとに、石がゴロゴロ転がる川原から。そう、最初はバイクを担いで川を渡るところから始まる。この国の人達は、そういうアドベンチャー要素が入っているのが本当に大好き、橋の上の観客達が大歓声をあげている。
「パーン!」、自転車を担ぎ、いっせいに川を渡り始める。この川、思った以上に深い。腿の付け根まで浸かるところだってあるくらいだ。川を渡り終えたら、オンロードのアップヒルが1キロほど続く。
最初のダッシュで少し遅れた僕は、トップ集団から少し離されてしまった。ここが頑張り時だとは分かっていても、トレーニング不足の体は全く言うことを聞いてくれない。そうこうしている間にもトップ集団から離されていく。
目の前に壁が立ちはだかっている。坂ではなく、まさしく壁。バイクを担ぎ登っていく、足場に気をつけないと、粘土質の土に滑り転んでしまう。もしここで転んだら、後ろのバイカーもろとも10メートルは落ちてしまうだろう、などと思いながら足を慎重に次の窪みにかける。
ちょうど半分、ここからは10km弱が下り。登りより楽とはいえ、滑りやすい岩のドロップ、拳大の石が並ぶ細いシングル・トラック、そして突如として現れる泥溜まりで気が全く抜けない。そんなテクニカルなトレイルと格闘しているうちに、コースは登り道に。
ダラダラとかなりの斜度の登りが続いている。タイヤが粘土質の土に上手く合わない、気は抜くとずるずる滑ってしまう、こういうのがマウンテンバイクでは一番きつい。周りを見れば、エリートの選手もプロの選手も足をつって動けなくなっている。そんなレベルの大会なら、走ったことだけで勲章物、と自分に言い聞かせペダルを回す。
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あと10キロちょっと走ればゴール。それは分かっているけれど、どうしてか速く走れない。格好の悪い走りになっていることは分かっている、でも何故か早く走れない。ちょっと休まないと駄目かも、と思った瞬間、視界が開け見覚えのある風景に出てくる。あとゴールまでは数キロだということだ、出来る限り早く走る。カメラマンが居る、「スマイルー!」「もう、笑えましぇーん!」引き攣った笑顔でそう言い残しゴールへと急ぐ。
ゴールはすぐそこ、でもその前に川を渡らないといけません。水中で足がつって倒れているおじさん、ハイ・チーズ!そして僕は川を渡ってハイ・ゴール!
ニュージーランドで一番きついレース、無事に完走です。いつもは順位が気になるけれど、今回は見たくもありません。でも、この参加者の中で半分以内には入っているだろうから、まぁ良しとして、来年に期待です。根っからのマウンテンバイク好き、アドベンチャー好きにはこんなレースがお勧めです。
(2008年3月1日 丸田憲司)
写真提供:Mikaela Jacques